試験評価職とは
試験評価は、自動車メーカーが開発した製品(試作品)が、設計の期待値を満たしているか、実機を用いて調べる仕事です。試験評価には、大きく分けて「開発評価」と「法規認証試験」があります。
開発評価
「開発評価」では、製品の耐久性や性能が、各メーカーの設計時の想定どおりに発揮されるかを確認します。自動車を構成するさまざまな部品を対象に、実際に稼働させて負荷をかけ、その性能を評価します。耐久試験、適合試験、環境試験、電磁両立性試験など、評価の種類は多岐にわたります。
試験の過程で期待を満たさない状態、つまり不具合が見つかった場合は、「どのような状況で、どのような不具合が発生したか」をメーカーに報告します。評価のフィードバックをもとに、試作品はさらに改善され、より良い製品へとブラッシュアップされていきます。
法規認証試験
「法規認証試験」では、製品の性能が発売国の法律の基準を満たしているかを検査します。国によって基準が異なるため、各国から認証官が来社し、実際の評価を視察した上でデータを確認します。無事に基準を満たしていれば、その国での発売が許可され、「認証」を得ることができます。しかし、「開発評価」とは異なり、基準を満たしていない場合は、その場での認証は「不可」となり、改良を行った上で初めから認証試験をやり直すことになります。
開発評価と法規認証試験は、いずれも製品開発の最終工程です。これらの評価で問題がなければ、生産工程へと進みます。そのため、試験評価は「開発の最後の砦」とも呼ばれ、自動車の開発において重要な役割を果たしています。
主な仕事内容
強度耐久性試験
開発段階の自動車・自動車部品が壊れないかを調べています。
- エンジン耐久試験
- 悪路走行耐久試験
- ブレーキ強度試験
- 電磁両立性試験 など
性能評価・適合試験
開発製品の各性能や車載適合を調べています。
- トランスミッション適合試験
- 環境試験(高温・低温)
- 社外走行データ解析評価
- 氷上制動試験 など
必要なスキル・資格
- 自動車知識
自動車整備士の資格は必須ではないですが、自動車の構造や作動、整備方法などの知識は業務を進める上で非常に役に立ちます。また、最近の自動車のコンピュータ制御内容まで理解している方は、社内において貴重な人材となります。そのため、国家1級自動車整備士資格の取得をお勧めします。 - コミュニケーション能力
職種を問わず社会で求められるコミュニケーション能力は必要とされています。高度自動車科のカリキュラムにはテーマ研究授業や卒業研究などがあり、チームで研究活動に取り組むことでコミュニケーション能力やチームワークを培うことができます。 - 普通自動車運転免許
卒業生紹介
- 松井 颯汰さん
- 2019年 高度自動車科卒業
- エフティテクノ株式会社
認証・次世代技術部 勤務
評価と調整を繰り返した製品が、
世の中の自動車に活用されていく
私は自動車の先進安全技術(AEB、APSなど)の評価業務を担当しています。車両にカメラや計測機器を取り付け、社外での走行やテストコースに設けた擬似的な試験環境でデータの取得評価を行います。その後、データを解析し、顧客である自動車メーカーに報告を行います。
評価にあたっては、「この手法の方が効率化につながるのでは」など、顧客に対して課題や改善策の提案を積極的に行っています。トヨタ神戸自動車大学校のテーマ研究授業で学んだ「自ら考え、課題を解決する力」が役立っていると実感しています。また、ドキュメント作成についても評価終了後の手順書作成などに活かされています。
自分の評価をもとに、顧客とコミュニケーションを取りながら調整されたものが、実際に世の中で活用されていくことには、大きな達成感があります。今後も、世の中から自動車がなくなることはないでしょう。実用化が進む自動運転技術に代表されるように、さまざまな分野の最先端技術が集約され、自動車はさらに発展していくと思います。今後も受動的にならず、スキルアップにつながりそうなことには臆せずチャレンジしていくつもりです。